5月の映画 『ワンダフルライフ』

古い学校のような場所にさまざまな年齢の男女が入ってくる。
この日は22人。
受付を済まし、面談室へ向かう。
そこで、こう伝えられるです。

「あなたは昨日、お亡くなりになりました。ここにいる間にあなたの人生を振り返って大切な思い出をひとつだけ選んで下さい」と……。

***

こんばんは。
ミニシアタースタッフ経験10年の編集部スタッフが、おすすめ映画を紹介する本コーナー。
第1回は、『ワンダフルライフ』をご紹介します。

フィクションだけど、ドキュメンタリー

1999年4月公開され、全米200館で上映されるという異例のヒット作となった、『ワンダフルライフ』。
主演にARATA(井浦新)、一緒に働く仲間に小田エリカ、寺島進 、内藤剛志、谷啓 など実力のある俳優陣が脇を固め、伊勢谷友介、阿部サダヲ、志賀廣太郎 なども出演しています。
また、多数の賞も受賞。

サン・セバスチャン映画祭 国際映画批評家連盟賞
トリノ映画祭 最優秀脚本賞
ナント三大陸映画祭 グランプリ
ブエノスアイレス映画祭グランプリ・最優秀脚本賞

この作品の魅力のひとつはリアリティーがあること。
見覚えのある風景、人との距離感。
「もしかしたら、ほんとうにあるのでは?」と思えるのです。

理由は、登場人物にひみつがありました。

是枝監督の解説が掲載されている以下サイトには、こう書かれています。

死者役として一般の人々が多数登場しているのも大きな見どころの一つ。
映画制作の準備を本格的にスタートさせた97年の夏からクランクイン直前までの6ヶ月、スタッフがそれぞれビデオカメラを持ち、老人ホームやとげぬき地蔵、オフィス街の公園、大学のキャンパスなど、様々な場所を訪れ、「ひとつだけ思い出を選ぶとしたら…?」というインタビューを行いました。集めた”思い出” は500。その中から選ばれた10人が本人として映画に登場し、実際の思い出を語っています。

さて、死者となった人たちは、大切な思い出を選ばなければなりません。
選びたい思い出をしっかり思い出せる人もいれば、記憶があいまいな人や選ぼうとしない人が出てきます。

「あのとき楽しかったなあ」なんて思っても、具体的にどういう内容だったのか鮮明に思い出せる人はどれだけいるでしょうか。

もし、明日自分が死んでしまうとして、1つだけ思い出を持っていけるとしたら、いつの思い出を選びますか。

選べるだけの人生を送っているだろうか。
未来の自分が、いまの自分を見たらどう感じるだろうか。

自分を見つめなおしたいときにおすすめの作品です。

作品情報
ワンダフルライフ
監督: 是枝裕和
出演:ARATA(井浦新)、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、谷啓、伊勢谷友介
1999年製作/日本/118分
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